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残業代請求は退職後にも行うことができます。
サービス残業が当たり前の環境だと累積してかなりの金額になることもありますが、在職中に請求して勤め先との関係がこじれてしまうのは抵抗があるという人も多いはずです。
そのため退職して雇用関係が消滅した段階で残業代請求を行うケースが一般的です。
しかしこの点に関してはひとつ注意が必要です。
それは時効の存在。
残業代の請求権には時効があり、2年間有効と定められているのです。
これは労働基準法の第115条に定められているもので、残業代を含めた賃金、災害補償などの請求権は2年間、退職手当の請求権は5年間が時効とされており、それを過ぎた場合には請求権が消滅してしまいます。
これは残業代請求において非常に重要な問題となります。
残業代は給料未払いとは異なり、ある日急に発生するわけではありません。
長年積もり積もって相当な金額になってしまうケースが大半です。
ですから、長年働いてサービス残業が積み重なっている場合にも2年間分しか請求できないことになるのです。
ズルズルとサービス残業を続けている職場で働いている場合には請求が後れれば遅れるほど支払われる残業代が少なくなってしまうわけです。
この時効に関してはいつから2年間なのか、という点も大きな問題です。
これは「給与支払日を基準にして1ヶ月単位で計算される」が基本的な基準となります。
通常給料日は毎月25日ですから、この日を基準に2年間となります。
自分にどれぐらい未払いの残業代があるのかを計算する際にはこの点をよく踏まえたうえで調べていくとよいでしょう。
もうひとつ注意が必要な点もあります。
それは交渉にかかる時間。悪質な企業の中には残業代請求を行ってもまともに相手にしようとしないところもあります。
そうしてズルズルと交渉を長引かせて時効に持ち込もうというわけです。このようなケースに関しては「時効の中断(停止)」と呼ばれる規定が設けられています。
この制度は「請求」「差し押さえ、仮差し押さえ、仮処分」「承認」を条件に時効期間を停止するというもので、請求さえ行えばその時点で時間の経過が止まるという形になります。
つまり交渉にどれだけ時間がかかってもその間に時効が来てしまって請求が認められないといった事態を避けられるのです。
このように、残業代請求には時効の概念が存在します。
この点にだけは重々注意したうえで交渉や訴訟に持ち込む準備を行っていきましょう。長く勤めた企業に請求する場合にはとくに注意が必要です。
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